メモ:昼夜の気温差が酷いことになってきた。まだ夜は寒くて走れない。
透明人間 2020
監督:リー・ワネル
主演:エリザベス・モス
オルディス・ホッジ
オリヴァー・ジャクソン=コーエン
ストーリー
:夜半、エリザベス・モスはベッドから起き上がった。
ゆっくりと腰に回された夫の手を振りほどくと、秘かに準備していた荷を掴み家を出ようとする。
そこに飼い犬のゼウスがやってくる。
モスさんは「連れていけないの……でも、この首輪だけは――」
とゼウスの電気首輪を取り外す。
だが、車のアラームが鳴り出してしまう。
モスさんはダッシュで敷地を抜け出し、待ち合わせをしていた妹の車に転がり込んだ!
事情が分からずブツブツとこぼす妹。だが、そこに一服盛ったのに目を覚ましたオリヴァーさん演じる夫のエイドリアンが襲撃してくる!
素手で車の窓ガラスをぶち破るオリヴァー=エイドリアン!
動転する妹は車を発進させ、モスさんは安堵のため息を漏らす。
だが、束縛され続けた彼女は常に夫の影に怯えて生活することになった。
やがて彼女の周囲で……
感想・バレ無し
:一応ウェルズが原作で、1933版をリブートという謳い文句ではあるのだけれども
まったく違う話です。
いや、ここまで違うならば影響を受けた~とか言っときゃ良いんじゃねえかな?
んで、中身っすけどね、面白いんだけども、このタイトルでやることかなあってのが正直な感想です。
うーん、正直中盤までかなり退屈で、ちょっとムカついてました。
なんかピントがずれてねえ? って。
で、見せ場のつもりだろうけども、私的には
なんだこの演出、バッカじゃねえの
ってとこが一ヶ所あったりしてですね、中盤以降盛り上がってくれてホッと胸を撫で下ろした次第です。
ラスト付近は良かったかな。
以下ネタバレ感想
え~っとですね
透明人間ってタイトルの映画だってーのに
モスさんが主張する透明人間はいるの? いないの? で前半引っ張るのはどうよ?
いや、束縛されていた女性が男の影に怯える。そこに透明人間を絡めるってのはアイディア的に大変面白いですよ。
でも、それを『透明人間』ってタイトルでやるなって―の。
全部茶番にしか見えねえよ。
それと、上記の『なんだこの演出、バッカじゃねーの』は
透明人間の吐息が白く出るシーンです。
あのね、それまで誰も白い息吐いてるシーンないんですよ。
で、そこだけ突然、とってつけたようにモスさんが外で白い息を吐くようになるのよ。
しかもその白い息がCGに見えるのね。(これ実際そうだったかは判らないけども、そう見えた時点でダメだわな)
で、その横で透明人間の吐息がホワ~ッ……ってね。
いや、今回の透明人間は光学迷彩なんですな。
(攻殻機動隊ってよりはダイ・アナザー・デイのボンドカーに近いっすね)
ここら辺の伏線は冒頭からちゃんと張ってあるから良いんだけども
吐息が白く出ちゃうって迷彩の意味ねぇし、それじゃあ口臭や体臭ももしかしたら漏れるかもしれないよね?
それって気配じゃすまなくない?
リアルな設定に寄せればよせるほど、観てる方のリアリティラインも上がっちゃうわけでさ、そこを昔の透明人間の調子でやられても変になるだけなのよ。
なんだかなあ。
って感じで前半は不満しかなくて
とんでもねえ駄作を借りちまった
と凹んでましたが、中盤、オリヴァーさんが屋根裏に潜んでいたってあたりから、結構面白くなってきました。
ここでポイントは、脚立を使わないと行けない屋根裏に透明人間が潜んでいたってことです。
つまり、共犯者がいる。
そして
もしかしたら透明スーツ人間は二人以上いるかもしれない
ってことです。
ここからオリヴァーさんの兄貴が透明スーツ着てて射殺されるシーン、そしてラストの暗殺に繋がっていくわけで、実に楽しい!
透明人間の映画で、被害者を主役にしたってのが効いてきますな。
また、モスさんが具体的にどういう束縛をされていたかは、台詞のみで語られるのね。
だからモスさんの妄想ともとれるようになってる。
でも、実際の所は、冒頭の犬の電気首輪で全て説明しているから良いんです。
要は、この夫は異常に几帳面な家の内装からも判るように
自分の周囲全てが自分に隷属するのを望んでいるわけですな。
んで、最後の夫の台詞ですよ。
この映画、透明人間つってるのに台詞は大体不透明なんですわ。
だからして夫の
That shouldn’t come as a surprise
ってのは実に秀逸な不透明さでありまして
こちら字幕も吹き替えも訳し方が微妙に違っていてですね、でも、どっちも事実をぼかしつつ夫がモスさんを嘲笑ってる感があって大変よろしいんですなあ。
で、この台詞、夫がモスさんを再支配しましたよっていう宣言でありながらも、モスさんにとっては夫暗殺への最終トリガーになってるのがね!
(ステーキを選んだ時点で準備はしているってのがまた……)
ここの二人の表情が大変素晴らしいんだけども
ここ、撮影初日に撮ったらしいのね。
役者ってすげぇな!!
さて、ラストで夫は(多分)透明スーツを着たモスさんに首を掻っ切られて死ぬわけですが、そこで、ちょっと妄想するわけですよ。
作中何回もモスさんが口にした
どうして私を奥さんにしたのか?
ってやつです。
夫であるオリヴァー=エイドリアンは
こうなることを全て予期していたのではないか。
心のどこかで、自分を殺してでも止めることができる女を探していたのじゃないか。
それをモスさんに見出したので執着していたのではないか……。
なんてね。(犬のゼウスが怪我すらしていないし、餌ももらってるってのが、また色々妄想できるんだよなあ)
まあ、そんな感じで一応お薦め。
タイトルが『透明人間』じゃなかったら満点をあげたいんだけどもねえ……。
ともかく前半が辛すぎる!
そんな映画でございました。
以上!
これなあ、ぶっちゃけ透明人間全く出さない70分くらいの映画にして、最後に夫を殺すってやった方が良かったよねえ。
そうすりゃ『透明人間』ってタイトルが最高に効いてる作品になったと思うんだが。
まあ……メジャー(といってもブラムハウスだけども)でやることじゃないなw
しかし、いくら壁用の水性ペンキとはいえ、流しでは全部落とせないと思うのね。
だからして、あそこは二人がかりだったんだろうな、と。
ペンキぶっかけられたのが兄貴で、その後の透明暴力がオリヴァーさんなんだろうな。