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事件現場から:セシルホテル失踪事件

メモ:アオミドロだけを消滅させる方法は無いのだろうか……。

 

事件現場から:セシルホテル失踪事件 2021

監督:ジョー・バーリンジャー

 

:2013年2月1日、カナダ人のエリサ・ラムが失踪。

彼女はLAを旅行中であった。

警察は直ちに捜査を開始する。

迷子、殺人、誘拐と様々な仮説が立てられるも、手掛かりが乏しく捜査は難航。

そんな中、捜査陣の目に留まったのは、ホテルのエレベーター内の監視カメラ映像であった

映像の中で彼女は、奇妙なふるまいを見せている。

一体これは、どういうことなのか?

やがて、この映像は一般に公開されることになる。

だが、それが間違いだった

警察が気づいた頃には、ネット界隈は激しく反応

実は彼女が宿泊していたのは、セシル・ホテル。

そう、あのナイト・ストーカーがかつて宿泊していたホテルだったのである。

このホテル、現在においても、周囲も中も治安が最悪の状態で、かつて人が死んでない部屋を探すのが難しい状態だったらしい。

そして――エリサ・ラムの死体がホテルの貯水槽で発見される

吹き出す陰謀論! 徘徊する素人探偵!!

事態は制御不能の暴走を始め、やがて――――

 

感想:バレ無し

Netflixのオリジナルドキュメンタリー。

ナイト・ストーカーと同じくエンタメ風に演出された作品である。

iroirokannsou.hatenablog.com

ただ、注意していただきたいのは、今作はかなり明確な目的をもって作られているという点だ。

それ故に、ドキュメンタリーとして反則の(とは言ってもよくある手法ですがある事実が意図的に抜かされたまま進行するのですな。

で、それがどういう効果を生むかって―と

当時のネット民、いやさ、ネット探偵Web Sleuthというホントに馬鹿にしたようなこの呼び名!)達と同じ気分を味わえるのである!

……これ、人によっては最後まで見ると、かなりのダメージを受けるんじゃないかと思います。

うわっ! ていう衝撃じゃなくて

…………やべぇ、恥ずかしい

っていう、夜なかなか寝れなくなる類の奴ね。

 SNS脊髄反射で書いている人は要注意でありましょう。

勿論、それ自体は悪い事ではないんだけども、それには責任が伴うんですよっていうのを、傷に塩をぐいぐいねじ込むように見せつけられるのだ!

 

 で、まあ、私個人としては超お薦め!!

上記の部分も含めて、ホラー・ミステリー作品としてかなりの出来栄えだと思う。

後味の悪さも超極上だ

 

以下ネタバレ感想

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エリサ・ラム事件に関しては、動画を昔見たかな? どっかで記事を読んだかな? って程度でしたので、かなり釘付けになる内容でしたね。

ともかくエレベーター内の動画のショッキングさですわな。

あれは、陰謀論が沸き上がるのも、しゃーないと思う。

ついでに言えば、ネット探偵たちの活動も凄く良くわかる。

わかるんだけども

あまりに公平性を無視した、ついでに言えば、自己承認欲求が土台になった見せかけの同情溢れる主張と推理を繰り返すSNS民の書き込みや、ユーチューバたちのクソ動画の数々には非常にげんなりさせられる

とどめとばかりに

数年前にホテルに宿泊したデスメタルの歌手を犯人だと決めつけて、凄まじい勢いで誹謗中傷を始めるくだりは、もう絶望しかない

なんで、ここまで馬鹿なのか

いや、見ず知らずの人が死んだことに心を痛めるって点は、凄く尊いと思うのよ。でも、私が日本人な所為なのか、それともおっさんだからなのか、攻撃に移るっていう発想が理解不能なんだよね。

どう頭を捻ってもそういうのに腹を立ててる自分って凄い! っていうのが根底にあるようでさ、そういうのは正義感じゃねーだろって思うっちゃうのよね。

まあ、そこまで人を暴走させてしまうのがこの事件の魔力なんだろうけども。

 

まあ、そのデスメタルの歌手もね

実はシャイであがり症だから僕は犯人じゃありません動画を廃墟でガスマスクを着けてやってみましたってのは、失策すぎてねw

可哀そうなんだけども、なんでそれ?

 

実の所、この事件がどんどんこじれていく原因は、マスコミの誤報道なんだよね。これ、割と些細なミスで、現場の伝達ミスだからマスコミ自体も悪くないし、警察もそんなに悪くないのね。

ただ、その一点が、エリサ・ラムが見つかった貯水槽の蓋が開いていた、を閉じていたと報道してしまったのが陰謀論の核だったってのがね……。

これが裁判で明かされた途端に、事件の概要がガラッと変わってしまうのがまた……。

 

ぶっちゃけ、エリサ・ラムに対して

なにやってんだ

と思う人がいるんじゃないかな?

私はそうだったし。

 

要するにですね

双極性障害を患っていたエリサ・ラムは、自信の回復を図るために旅行を計画し、あろうことか旅先で、恐らく自分は障害から回復しつつあることを証明するために、薬を抜いていった……その結果が、エレベーター内の奇行であり、実は前日にテレビ収録現場を見学中に、やはり奇行でつまみだされていた。

だから、死因は事故死だった、わけです。

自分で、混乱して、中に入っちゃった、と……。

 

なんで、旅先でそんなことやってんだよ……

 

いや、作中内でブログやらタンブラーやらの彼女の独り語りが散々引用されるのよ。でも、どーにも、それが鼻につくのね。

そういう風に演出されてるからなのか、自己愛が激しすぎるように思えるのね。

で、このオチ……。

 

もう関わった人間で、職務を淡々と実行していた警察官とか従業員以外の連中は、どうしようもねえなっていう感じなのよ。(いや、デスメタルの人は前述の違いますよ動画以外はかなり同情されるべき人なんだけども……だから、なんでそんな動画?

ユーチューバーの連中も、よくもまあ、この作品に出る気になったよなあ

ネット探偵代表みたいなやつも、なんかドヤ顔で語り倒し、哀愁溢れる――探偵小説の最後に『虚しい事件だった』みたいな感じな顔

気持ちの整理をつける意味で、彼女の墓に友人に行ってもらって、タッチしてもらったって、ツッコミどころ多すぎだろ!!

ホテルに行って動画撮る行動力があんなら、カナダくらい行けや!!

 

……という、登場人物、大体クソ野郎というアウトレイジみたいな状況になっていくんですなあ。

勿論、エリサ・ラムの死に関しては、心が痛む案件だと思う。

思うんだけども、その過程をこういう演出で事実として見せられてしまうと、どうにもこうにも……愛に溢れていたって……いや、周囲の人に対して色々考えたなら、旅先でそういう事はしないでしょう

過去に薬を抜いて病院に担ぎ込まれた経験があるのなら、旅先でそういう事をやるのは、単なる我儘でしょう……って思っちゃうのは日本人的考え方なのかな?

 

まあ、そんな感じで、入ってくる情報を精査せず、感情で即座に反応して暴走していく集団の怖さを存分に味わえる作品でありました。

ちなみに、デスメタの人に事故死が確定した後、謝罪した人はゼロだそうです。

まあ、デスメタの人はユーチューブをはじめ殆どのアカウント停止させられちゃったらしいから連絡手段がなかったんじゃないかなとは思うんだけども

 

そんな、あらゆる意味で暗い気分に浸り人に超お薦め!!

明るく楽しくSNSやりたい人は、多分観ない方が良い!!!ww

 

以上!!

 

 

 

 

 

 

 

でも、映画の『ダークウォーター』に事件が似ている! って誰かが書いたら私もオカルト系の反応しちゃうかもなあ……で、どっぷり陰謀論にはまるだろうなあ……。

いや、身につまされます、はい。