メモ:スマホの調子が悪い……のは今に始まった事じゃあないんだけどもなあ。
透明人間 1933
監督:ジェームズ・ホエール
主演:クロード・レインズ
ウィリアム・ハリガン
ウナ・オコーナー
ストーリー
:イギリス・サセックスの片田舎。雪深いある夜更けに、その男はやってきた。
酔客で賑わう宿屋に入ってきた彼は、顔を包帯で隠し、ゴーグルをつけ帽子を目深にかぶり、マフラーで口元を隠しているのだ。
男は、事故で大怪我をしているとウナ・オコーナー演ずる宿屋の女将に語る。
だが、宿賃を滞納し、部屋を科学実験で汚しまくってしまった男に、怒り心頭のウナ女将は出て行けと通告。
激高した男は遂に包帯を取る!
男の体は、透明だったのである!!
男の暴走が始まった!!!
感想・バレ無し
:H・G・ウェルズの原作を、フランケンシュタインのジェームズ・ホエールが映画化した本作。
以前感想を書きましたのは東宝の1954年製作の作品でございます。
で、その20年前、つまり二次大戦前に作られた本作ですが
あまりにも完成度が高すぎる。
ぶっちゃけ、2020年に公開された最新作よりも、完成されていると思う。
いや、昔の映画を観ていると、いつも思うんだけども
映画ってとっくの昔に完成されているんだなあ、と
特殊効果云々はそりゃあ現代の方が何千倍も優れていますよ?
でも、お話の面白さはとっくに出来上がっちゃってて、なんなら余計な物がないからストレートに面白いと思うのよ。(ちなみに本作の特殊効果は、モノクロ映像と相まって、今よりも凄く見えてしまう瞬間があったりする)
いやあ、後続の映画監督達は映画好きであればあるほど、心のどっかで絶望しちゃうだろうなあ……。
で、本作は日本だとフランケンシュタイン二作で有名なジェームズ・ホエールが監督!
原作をある程度なぞった前半は軽快なハイテンションブラックコメディで、ともかくテンポが良くてスピーディ!
まあ、ボケとツッコミのテンションが高いのなんの!
ウナ女将がらみのとこは滅茶苦茶笑えんのよ!
ところが中盤から原作を離脱!
え? ここで殺人!? とか、
おい、こいつ完全に狂ってるぞ!!? っていう演説がスムーズに始まったりで、パニックホラーになっていくわけだ!
舞台は田舎を出ないんだけども、警官殺しから始まって、とんでもない大量殺戮とか車による処刑とか、警察vs透明人間の攻防がガッツリ描かれるのね。
いや、物凄くお薦め!
モノクロ映画に抵抗のない人は、一度は観ておいてほしい作品ですなあ。
以下ネタバレ感想
いや、ほんとに透明人間映画として、最初の作品なのに、困っちゃうぐらい要素が完成されすぎているのね。
誰も乗っていない自転車が走ってみたり、雪の上に足跡がついたために銃で撃たれてみたり、ズボンだけはいて鼻歌を歌いながら夜道をスキップして女性が絶叫してみたりね。
で、皆があっさりと透明化を受け入れて、ラジオ放送で住民に警告。
市民が、ペンキをぶっかけろとか、霜を待てばと息が白くなって判るとかご注進してきたりする。
透明人間側の事情だと
食事の後は一時間、未消化の食べ物が見えるとか、 透明状態を保つために、足の汚れはすぐに拭き、爪垢にも気を配るのだ、とかさ
で、死んだ時に
骨→筋肉→普通の姿と段階を追って透明化が解除される
とかね。(1953版もこれやってるんだけど、ポール・バーホーベンのインビジブルは、冒頭でこれをやってるってのが面白い)
もう他に何を入れるんだってぐらい透明人間完成! でありますなあ。
しかもですね、この透明人間
薬品の副作用で狂人
なんですよ。
元々、名誉欲といいますか、恩師の娘との結婚を考えていて
それには実績が無ければ駄目だ! と自分を追い込んでしまったわけなんだけども
(だから娘さんに対しての愛は本物ってのが、また……)
これだけ凄い実績ならば、胸を張って結婚できる!
しかも、この能力は強姦だろうと強盗だろうとやりたい放題だ!
機関車だって脱線させられる!
な~に、信号係の首をちょいと絞めればいいのさ!
世界よひれ伏せ!!
ちなみに世界よひれ伏せ的な事は恋人との愛の語らいの最中に、段々テンションが上がってきて言っちゃうセリフです。
もう、ね。
で、この透明な狂人を狂人たらしめるのがクロード・レインズの声なんですな。
これが最高に素晴らしい。
知的で、傲慢、それでいてどっか心細そうな感じっつーの?
陰謀を語っているときほど、テンションが低いのも、科学者らしいといいますかね。
メイキングを見ると、当時は演技が大根だったらしいんだけども、声で採用されたとのこと。(娘さんが、一緒に映画を観に行ったら声で係の人に気づかれたってくだりがまた最高ですな)
で、更に素晴らしいのがハイテンションな甲高い笑い声だ。
空中に浮いたシャツと、狂ったような笑い声!
これだけで、間違いなくご飯三杯はいけます。
ちゅーわけで、褒める所しかないんですな
完全に優位だった透明人間が
唐突に隠れ家が火事になり、警官の一人にあっさりと撃たれてしまうラストの虚しさも中々のもんです。
彼の居場所はとっくにこの世に無かったわけですなぁ……。
あ、一応付け加えますがモノクロクラシック映画大好きな私の感想ってことで一つよろしく!
以上!
うーむ、大映版の「透明人間現る」はレンタルでないのよねえ……アマプラで観るか?