メモ:久々に目を疑う邦題だ!
VETERAN ヴェテラン 2019
監督:ジョー・ベゴス(人間まがいの監督! ってだけで、あとはもうお察しだわなw)
主演:スティーヴン・ラング
ドント・ブリーズの盲目殺人マシーン!
アバターの『俺を殺さなきゃ映画は終わらんぞ!』の大佐!!
ダイ・ハード2のスチュアート大佐!!
フレッド・ウィリアムソン
日本だと代表作がフロム・ダスク・ティル・ドーンになっちゃうのかね
マーティン・コーヴ
コブラ会のリーダー!
デヴィット・パトリック・ケリー
ジョージ・ウェント
ガバリンのお隣さん!!! ガバリン大好き!
ストーリー
:近未来のアメリカは新型ドラッグが蔓延し、街のあちこちが紛争状態だった。
そんな中、ベトナム帰りのラングさんが経営する退役軍人バーに一人の少女が暴漢に追われて転がり込んでくる。
退役軍人仲間で悪態をつきながらワイワイやっていたラングさん達だったが、続いて踏み込んできた巨漢のデブに、お前は最後に殺すといったな、あれは嘘だでお馴染み、コマンドーのサリーことケリーさんが斧で切り付けられ重傷を負ってしまう。
怒り狂ったラング軍団は暴漢を滅茶苦茶に殺害。
悪夢の夜が始まった!!
感想・バレ無し
:個人的には傑作!!
でも、お薦めはしない!!!
これは、あれだ、おっさんのジョン・カーペンターファンが喜ぶ映画です。
ジョー・ベゴスつったら『人間まがい』で、これエクストロのスプラッターリメイクじゃねーか!? と呆れるやら嬉しいやらって映画を撮った人で、観る前から、多分要塞警察だろうなと思ってたら、もろに要塞警察でした。
夜で!
シンセで!!
イカれた連中が押し寄せる!!!
ちょっとは隠せよw
つーわけでですね、夜中過ぎに良い顔した爺ちゃんたちが、押し寄せるジャンキー共をぶち殺しまくるというハッピーセットな映画です。
面白かったよ!!!
でも、これ、80年代の映画に思い入れが無いと、テンポの悪い中途半端アクションとしか観れないと思いますです。
あと、グロ度がかなり高め。
でも、そのグロが手作り感を大事にした感じで、あまり見せないってのも非常に気にいった。いや、昔の映画は長いこと写しておくと粗が目立つんでさっと画面転換しちゃうんだけども、そういうのも再現してるのね。
ここまでいけば立派ですわ。
以下ネタバレ感想
いやあ、面白かった。
それ以外言葉が見つからないっす。
とはいえ欠点もあるので、まずはそれから。
まずは画面の暗さ。
予算の制約もあったろうし、なにより80年代の雰囲気重視というのもわかるんだけども、やっぱりもう一段階明るい方が良い。
久しぶりにテレビの明度をいじりましたな。
で、続いて敵のバリエーションの少なさね。
一応、中ボス戦もあるんだけど、基本うわーって雪崩れ込んできたジャンキーが、ばったばったと殺されまくるだけ。
もうちょっと敵に変化をつけた方が良かったのではないか。
いや、本家の要塞警察も押し寄せてくる不良どもにやっぱり個性が無かったけども、あれは何を考えているか判らない不気味さの演出であってですね、今回みたくジャンキーが群れてくるのとは意図が違うんすよ。
ファミコン時代の雑魚的じゃないんだから、もうちょっとこう、四つん這いでくる奴とか、ラングさん達にかまわないでおっぱじめる奴とか、禁断症状に陥って仲間割れするとかさ、そういうジャンキー特有の怖さが欲しかったな、と。
後は、ヒロインの少女かなぁ。
こいつの扱いは非常に困ったと思うのね。勝ち気でやけくそになってなきゃ、ドラッグ盗んであいつらを破滅させてやる! なんて無茶な事を考えないだろうしさ、戦闘にもちゃんと参加してる。
だけども、最後まで無傷で、しかもやや上から目線でね。まあ、そういう礼儀がなってないてキャラなんだろうけども、ちょっと不愉快になる人が多いんじゃねーかな。姉貴が死んだのも、コーヴさんが言う通り自業自得だしなあ。
後はオチかな。
いやあ……それは売れんでしょうw
大金は手に入るだろうけども、自分の仲間たちが死ぬ原因にもなったドラッグよ?
しかも町が寂れた原因でもあるわけでさ、昔のように立派な兵士としてふるまえ! って鼓舞するくらいなんだから、あそこはドラッグ処分して、にやっとして終わりじゃねーとなー。
カーペンターならそうするんじゃねーかな?
続いて良い所なんだけども
やっぱ渋いおやじが群れてワキャワキャやってるのは良いわ!!
ウィリアム・サドラーとか年取って輪郭が太くなってるじゃねーか! って吃驚したけど、戦闘始まったら若返って見えるんだよ!
フレッド・ウィリアムソンとかも痩せちゃってね、なんかヨレヨレしてんだけど(これは、まあ演技だと思うんだけども)ドラッグ吸ってバーサーカーモードになると、ちゃんとカッコよく見える。
役者ってやっぱスゲーよ!
で、まあ、主役のラングさんよ。
ドンブリでもかなりやべぇ動きをしてたけども、今回も強さに説得力があるというか、壁越しにボスに脅された時にニヤニヤし出すところとか、まあ怖カッコいいんだ!!
しかも無敵の主人公じゃなくて、傷つくし、心も折れる。
戦場では生きがいを感じられたけど、今は……でも、まあ、なんとかやってるよって感じが、滲んでくる実に人間臭いキャラなのよ!
そんな爺ちゃんたちのドラマがですね、またなんか寂しくておかしくて、良いんだよねえ。誕生日にみんなで集まって、エアロビのビデオとか戦場の思い出話を肴に酒を酌み交わし、偶々バーに来た若い軍人にも気さくに話しかけ、さーてこれからストリップバーに行こうぜ! って盛り上がる。
ベッタベタなんだけど、正にヴェテランな皆さんがやってるからかなり心に来るんだわな。悲惨な戦争を共通体験として持っているからこその友情ってやつが、血みどろの画面の向こうに確かにあるのね。
だからして、それぞれの死にざまがカッコよくて、それでいてすげー残念に感じられるのね。コーヴさんの散りざまとか、チキンキャラに思わせといての、瞬間的な無双からの、ラングさんに警告して射殺されちゃうわけでね。ぶっちゃけ、あそこちょっと涙出てしまったっす。
ああいうキャラ付けで、あのラストはずるい!
んで、何気に良いキャラだったのが偶々バーに来た若い軍人ね。このキャラが頭から結までナイスガイで、ラングさん達にもちゃんと敬意を払ってんのよ。
んで、いざ戦闘になると、中ボスの顔面に原形留めなくなるまで膝蹴りをぶち込むってのがまた熱い!!
で、まあ、どこまで脚本でそうなってたかは判らないし、もしかすっと私の妄想に過ぎないのかもしれないけど、なんか爺さんたちの若い頃がすげー浮かぶんだよね。
サドラーさんとか、お喋りのお調子者なんだけど、やたらと友情に熱い奴とか、常に死に場所を求めているフレッドさんとか、ラングさんと何かって―と衝突すっけど、仲間想いのコーヴさんとかね?
良い映画ってのは観ている間に妄想もできるんだよねえ。
ちなみにケリーさんは衛生兵で、ウェントさんはヘリのパイロットかなw
というわけで、爺がうじゃうじゃ出てきて、グロいのが平気な人にはお勧め。カーペンター映画が好きな人には、強くお薦め。
バーの作りが若干不明だったりして、籠城サスペンスの要素は薄かったりするんだけども、横一列に並んだジャンキーとか(それを順番にヘッドショットしていく!)、ライトと影をうまく使って空間を広く見せてるシーンとか、最初から最後まで見どころがコンスタントにある作品だと思う。
以上!!
まあ、あとはラスボスの死にざまをもうちょっと派手にしてほしかったかなあ。
中ボス1の巨漢が頭ぐしゃぐしゃになるまで膝蹴りで、中ボス2のイカレ女が、後ろから串刺しされたあげくに、口に国旗を突っ込まれるっていうド派手な死に方だったのね。
ラスボスも、一応はショットガンで撃たれた後、トラックに挟み潰されて焼死なんだけども、トラックが来てからは当然ながら人形で、それが結構ダメな動きで挟まれてですね、ちょっと興が冷めちゃうんだわな。
惜しい! 実に惜しい!!
できれば、ヒロインの姉と同じく高所からの落下死も混ぜた形にして、ぐちゃぐちゃにして欲しかった!!!
それとウィリアム・サドラーの遺体を確認してやらないのは、酷くない?w