メモ:一日経って、エヴァロスがじわじわ来た!? あれま、私エヴァ結構好きだったのねw
バクラウ 地図から消された村 2019
監督:クレベール・メンドンサ・フィリオ
ジュリアーノ・ドルネレス
主演:バルバラ・コーレン
トマス・アキーノ
ソニア・ブラガ
ストーリー
:近未来のブラジル、祖母の葬式があるためにバルバラさんは故郷のど田舎であるバクラウに帰郷する。
滞りなく葬儀が終わり、ゆったりとした時間が流れるある日、給水車が銃撃され、村人の一人が謎の物体を目撃。
同時に、村がウェブの地図上から消えていることが発覚する。
やがて、不穏な影が村に忍び寄り始め……。
感想・バレ無し
:いやあ、珍妙な映画だった。
私自身ブラジルの生活様式をほぼ知らないので、目に入ってくる全てが本当の物なのか、SFとして作られたものなのか判らないので、かなり見入ってしまった。
とはいえ、映画としては間延びしてるとは思う。あと30分短くすればきびきびしたものになったと思う。
……思うんだが、この妙にまったりした時間と空間が映画の魅力であり、後半の爆発への伏線にもなってるから悩ましい所だ。
だからして、人によっては酷く退屈な映画と感じられるかもしれない。
……開幕30分までは。
以下ネタバレ感想
いやはや、30分までは何となく不穏な空気の映画だなと思っていた所に、まさかの小型UFO襲来!!
思わず、おいおいおいおい!? とか言いながらDVD巻き戻すくらいに、ふらっと画面に入ってくる小型円盤の唐突さ! 奇妙さ!!
もしかしたら、ここ数年で一番吃驚したシーンかもしれないっす。
で、そこからの、かなり冷静に『あれドローンだな。誰かがこの辺りを監視してるぞ』ってところで、頻発していた殺人事件がハンター集団に繋がっていっての、マカロニウェスタン風味といいますか、奇天烈な西部劇に発展していく語り口の面白さよ!
物凄くのどかなんだけど、水不足で、見渡す限りなんにもないバクラウ。
でも、村人たちはゆる~く生活していて、割と頻繁にすっぽんぽんだったりしてですね、凶悪犯である人物も、ま、テキトーにしてろや的な感じで受け入れてんのよ。
そんな平和ボケした村人たちを、実は政治家の依頼で狩猟しようとしているウド・キア率いる白人集団!
ジャミングで電波妨害!
電力を遮断!
道を閉鎖し、業者に金を渡して誰もセールスに来させなくして村を孤立させてやった!!
……ていうハンターたちの完璧な計画が
ずっと引っ張ってきた、しょぼいバクラウ博物館が実は、奥一面に銃がどかどか展示してあり、実はバクラウ村は圧政に対して何度も抵抗してきた血みどろの歴史があったのだ! ってなもんで、ここで一気に
『ここで何が起こっても外には漏れない』っていうハンター側にとっての絶望的な状況に変わる痛快さ!
それでいて、ジョン・カーペンター大好きがにじみ出てる監督なのでゴア描写は瞬間的で、実にあっさり。
なんかね、村人たちが手馴れてるんだよねw
後から考えると結構怖いんだけども、それをさらっと流してフワッと終わってしまうんだよな、この映画。
で、まあ、その怖さの大元ってのが、この映画って描写が点描なのね。
あれがこうして、こうなったから、こうなった! と描くんじゃなくて、ぽつんぽつんと要素を描いていくんだけど、それが他にどう繋がっているのかは描かない。
ただ、その点がそこそこ大きいので、色々想像できて楽しいのである。
例えば、現在動画サイトで犯行が拡散されている犯罪者であるトマスさんを村人は普通に受け入れている。
その理由は描かれないし、後半に至っては村人全員でその動画を見ていたりする。
で、村の入り口には銃痕がある警察の車両が、草むらに遺棄されているのだ。
この車についての言及も一切ない。
でも、この二つを並べると、なんとなく村人がトマスさんを受け入れているのが判る気がしてくるのね。
これだけ、辺鄙な所にあるバクラウ。
なのに、家の中には液晶テレビがあり、皆がスマホを持ち、学校の授業ではタブレットを使っている。葬式では液晶付きの葬儀カーを先導に、歌を歌いながら棺桶を埋葬する。そんな葬儀の司会進行はデブのDJで、大体マイクで喋っていたりして、なぜか村の入り口には監視所があり、そこにはトランスジェンダーらしき人物がいたりして、そこからの連絡をデブDJは村にアナウンスするのだ!!
ってなもんだから、最初にハンター軍団が出てくると、確かに凶悪に見えるんだけれども、話が進むほどに村人の方が不気味で得体が知れないように思えてきちゃうのね。(最初は主役のバルバラさんは、中盤以降バクラウ村の一人として埋没していくのね。だから、より村人一塊としての圧が強くなる)
しかも、射殺したハンターたちの首を、全部切り落として教会の前に並べるんだぜ?
そりゃ、ウド・キアも『はい?』みたいなリアクションするわな。
というわけで、実に不思議な映画。
怪作と言っていいと思う。万人に受け入れられるとは思えないけれども、西欧主義に肩入れする政治家に対して、反抗する人たちの縮図ともとれるので、機会があったら観ていただきたい。
ちなみに地上波は絶対に無理です。
チンコがもろに、しかも長時間出てるから。
(しかも、そのまま散弾銃をぶっぱなす)
以上!!!
いや、しかしジョン・カーペンター大好きなのね、この監督。
オープニングは物体Xだし、ドローンはゼイリブみてぇだし、カーペンターのアルバム『LOST THEMES』の『NIGHT』をがっつり流すんだものなあ。
ちゅーわけで、連想するのは要塞警察なんだけども、あれよりもあっけらかんとしてますなあ。
次はガッツリとホラー撮ってほしいですわい。