メモ:マスクはオーバーだ、意味が無いというWHOは、日本の花粉症を知らぬのか。
見えない目撃者 2019
監督:森淳一
主演:吉岡里帆
ストーリー
:警察学校を(多分)成績優秀で卒業した吉岡は、事故で失明してしまう。
それから三年、小さな接触事故現場と思われるものに遭遇した吉岡は、駆け付けると、停車している車に助けはいりますか? と話しかける。
しかし、聞こえて来たのは、恐らくは車内から助けを求める、女子高生らしき声だった……。
感想・バレ無し
:おお、面白いです!
ただし、かなりの条件付きで。
この映画は何か?
ミステリー? 成長譚? バディもの?
違います。上記の要素はかなりズダボロです。
この映画は、国産のジャーロ映画なのです。
そして、ジャーロ映画としては、かなりの完成度を誇るのです。
つまり、普通の映画としてはダメな所が多すぎるのですな。
以下ネタバレ感想
目の見えない女性が執念で事件を追っていくうちに過去と対峙して成長していく……というお約束満載の展開なんだけど、ミステリーの要素を残しつつ、話のスピードを優先しているので、例えば高杉真宙が警察の証言では言わなかった事実を、初対面の吉岡にいきなり言ってみたり、視覚障害者である吉岡が事件を探っているのに対し、警察側はちょっと文句を言うだけで完全スルーとか、不自然な状況が延々と続くのですな。
勿論、吉岡自身の演技がかなり凄いので、思わず画面に見入ってしまうんだけど、それでもやはり不自然は不自然でね、でも、これがジャーロ映画だと考えると、全てはすとんと丸く収まるわけです。
ジャーロ映画って色々定義があるとおもうんですが、私は
雰囲気優先の犯罪映画
だと思っています。
そう考えると上記の不自然な点なんて、まったく問題ないわけで、言っちまえば警察が無能で、素人探偵大活躍の猟奇ミステリーも言い換えればジャーロ映画なんじゃねーかなと。
で、その最たるシーンと言いますか、それが
地下鉄での追いかけっこです。
これ、あまりにも人がいない地下鉄で犯人と吉岡が延々と追いかけっこをするという、凄く面白いシーンなんですが、幾らなんでも人がいない、及び無関心すぎる、更に言えば、地下鉄で(多分)一駅移動したのに、犯人が先回りしているという状況まで出てくるんですが
なーに、ジャーロ映画なら
アルジェントの映画ならそれくらい、どうってことないですわ。
だってアルジェントのスリープレスなんて、冒頭で
電車が走っている状態で、後ろにいるはずの犯人が前の車両にワープしてるんだぜ?
犯人は双子か!? とか真面目に考えたら、思いっきり単独犯だしね!
で、まあ、そう考え続けると、犯人がどっから麻薬やら薬物やらを手に入れたんだとか、その家に電気が通ってるのかよ! いや、OK、それはいい。
でも水道も通ってるの!? という珍シーンも
全部良いんですよ。
最高です。
もう、あれが何して暗くするためだけなんだけど、そこでそれ使うってのは、もう判ってて、犯人がどういう風に死ぬのかまで、ちゃんと冒頭の射撃練習のシーンから伏線が張られているわけでね、もうヒャッホー! ってなもんですよ。
最後も、あっさり爽やか。
いや人ボコボコ死んでるし、大倉さんとか世界に類を見ないほど悲惨な殺され方(頭にナイフを当て、全体重をかけてぐっと額の中辺りまで押し切る!)するんだけど、高杉君にこやかに俺警察官になろうって思うんだ!
いや、うん、そう言うと思ってたけど、あの死体を見てそう思ったか……。
豪胆やな、君ぃ!!
と、ツッコミどころ満載なんですが
役者全員が物凄い演技が良くてですね、もう主演の吉岡さんが本物にしか見えねえとか、高杉君の名バディぶりとか、大倉さんのリアルな情けなさから来るカッコよさとか、安心安定の田口トモロヲさんとか!
田口さんが犯人を察した瞬間の、映像の高揚感!
あの表情だよ! うおおおおおっ! ゾクッときたぁ!
それと、國村さんね。
この人は出るだけで反則なんだけど
この人が話すシーンと相まって、あそこは物凄くホラー度が高い。
うわっ、怖っ! てなるんだよな、あのビデオのシーン。
以下更にネタバレ
で、浅香航大さんね。
この人、ホントに凄い。
好青年で、シューマイ渡した時点で、大体の人はニヤニヤしちゃうと思うんだけど、実際本性を現した時の、でかい虫みたいな感じ。
あ、ヤバい、と素直に思えるスナッフビデオのシーンとかね、
イケメン細マッチョサイコパス殺人鬼として完璧だったんじゃねーかな?
なんつーか、あの怪力ぶりに無理が無いように見えるのね。
でかくて容赦なく、ぼりぼりと小さい虫を食い散らかす、大きな虫。
カブトムシとかを腕に付けた事のある人は、あいつらの力の強さに驚くと思うんだけど、ほんとにああいう感じ!
とまあ、これ、作ってる方も
何を撮ってるかちゃんとわかっていて
演じている方も
何を演じているかちゃんとわかっている
という、凄い映画なんだけど
観ている方が、何の映画なのか判っていないと、ちょっと出来が悪く見えてしまうという映画です。
いやあ、面白かった!
最高!