メモ:深夜にシャツとパンツのみで自宅横のごみ置き場に可燃ごみを捨てに行ったら、距離にして10メートル以下なのに寒すぎて震えが止まらなくなってヤバかった……。
ナイト・ストーカー:シリアルキラー捜査録 2021
監督:テイラー・ラッセル
:警察官のギル・カリロはメキシコ人居住地で育った。
彼はギャング仲間とたむろし、悪さに明け暮れた。そこで警察は彼の親に助言した。
『死ぬか犯罪者になる前に、入隊させなさい』
かくしてギルはベトナム戦争に行き、無事帰国。
入隊前にフラれた恋人に、今度は俺からフってやる! と付き合い始め、やがて結婚!
彼は警察官になり、そして刑事になった。
ある日、彼は凄惨な殺人現場で生き残った被害者の母親に声をかけられる。
なんと事件の生存者の母親は、ギルの顔見知りだったのである。
事件が身近になり、ギルはある日、恐ろしい予想に行きつく。
殺人、暴行、誘拐ーー続発する事件は、実は同一犯の犯行ではないか?
周囲に一笑に付されるギルの考え。
だが、思わぬ証拠から、続発する事件は一本の線に集約され始める。
ナイト・ストーカー
いつしかマスコミがそう呼び始めた連続殺人犯
ギルは、ヒルサイドの絞殺魔を捕まえたLA保安局殺人課の凄腕刑事フランク・サレルノと組み、『そいつ』を追跡していく――
感想:バレ無し
Netflixオリジナルのドキュメンタリー。
とはいえ、いわゆるお堅いドキュメンタリーではなく、ストーリーで紹介したように主人公チームvs連続殺人鬼という、刑事映画風にエンタメとして演出した作品である。
結論を先に書くけども、個人的には物凄くお薦め!
全部で四時間弱だが、頭から結まで、がっちり楽しめる!!!
とはいえ、注意が必要!
なにしろドキュメンタリーであるから、登場人物は全員本物で、死体も本物。ギリギリ映像で出せる写真を使っているが、どうやって殺されたかをかなり念入りに解説した後に、遺族の悲しみがぶっこまれるのである。
犯人に対する怒りを増幅させる効果があるんだけども、それ以上に暗い気持ちになっちゃう人がいると思う。
ついでに言うと、犯人逮捕後の展開も、胸糞悪さの極致で、どよ~んとなっちゃう人がいるかも。
いや、私はそこも含めて、凄いと思うのだけども。
(面白い、という言葉を使っていいかどうか迷う内容なんだよね)
以下、ネタバレ感想
いや、ともかく凄まじい内容だった。
ナイト・ストーカー事件の事は、どっかで聞いたかな? 程度の認識だったので、犯人であるリチャード・ラミレスの狂いっぷりに度肝を抜かれた。
作品内で、犯行のあった場所が、地図上を移動しながらCGでかっちょいいBGMに乗って示され、犯行の内容を紹介! って感じで進んでくんだけど、最初はニコニコしながら見てたのよ。
そしたら――
え?
こいつ、まだやるの?
は? 一晩で二件も?
と、段々呆気にとられるようなことになってですね
おまけに押し込みからの殺人だけじゃなくて
子供を誘拐してレイプ、老夫婦の家に侵入して旦那を殺して奥さんをレイプ、寝てたティーンエイジャーの顔を車のでかい工具で滅多打ち、とか、もう留まるところを知らないんですわ。
そりゃ、LAの人達もパニックになるわな。
で、なんでこいつが中々捕まらなかったのかってのが、手口も被害者もバラバラで、かつ警察の縄張り争いが酷かったっていうのが奇跡的に噛みあっちゃった所為だったと。
LAって警察の管轄がひしめき合ってて(五分以内に幾つかの管轄で事件が起こせたそうな)、それ故、手柄を立てないと色々まずいんで、証拠等の共有化が難しかったわけです。
それが、段々と洒落にならなくなってきて、一本化され、そうすると
あれもこれも、こいつがやったのか!?
ってことになる。
しかもこの作品、最後の最後に
犯行の空白期間に別の事件をやっていたと、犯人が他の管轄の刑事にニヤニヤしながらばらすっていうオチが来るのよ。
つまり、判明してない余罪がきっとたくさんある……っていうね。
そして、こんなクソみたいな犯人にファンが大勢出来てしまうという現実。
遺族の一人(小柄で快活なお婆さんの孫)が法廷の外でベンチに腰掛けたら、隣の青年の手首にペンタグラムのタトゥーがしてあったという話は強烈すぎて胃が重くなる。(犯人が自称悪魔崇拝者で、法廷でハイル、サタンとか言ってんだよ)
いや、内容の事ばかり書いてもしゃーないんで演出の事を書く。
どんな感じかと言えば、今風のセブンとか、ダークすぎるマイアミバイスとか、まあ、歯の記録の写真なんてコマドリみたくカチャカチャ動くし(セブンのOPを想像してください)、刑事やら遺族のインタビューの合間に、ふっと悩んでたり明後日の方を向いてたり、胸元を開けて熱を逃がしていたりするカットをぶっこんだりするのよ。
ミュージック・ビデオみてえなの。
とどめとばかりに、要所要所で犯人の音声を紫色のフォントでノイズを走らせながら画面に掲示!!
もう完全にそっち系出身の監督が撮ったサイコホラーだわな。
でも、これが陳腐じゃなくて、実に効果的なんだよねえ。ややもすれば退屈な事実の羅列になっちゃうのを防いで、異様なテンションでガンガン進むわけだからね?
後は各話の引きね!
もう、ほんと絶妙!!
特に最終四話前の、三話のラスト!
あの引きの凄さ!!!
犯人のフルネームを知っている男を刑事が何とか取り押さえて車に押し込み
奴の名前は!?
誰が教えるか!
教えろ!! 軽いジャブ!
おいおい、それが最高か!!?
――その時、刑事の脳裏に犯行現場の凄惨な状況がフラッシュバックした――
刑事はフロントガラスまで拳を振りかぶると
いいか坊主
頭の天辺からケツまで引き裂いてやる
刑事は拳を後部座席にぶち込んだ!
男は腕を交差させ、バックシートに身を竦めると犯人名前を叫んだ!
リチャード・ラミレス!
リチャード・ラミレス!!
エンドタイトル、ドーン!! ジャカジャカジャカジャーン♪
いや、もう、大爆笑してしまった。
エンタメとして、これ以上の引きは無いでしょ?
ちなみに、ナイト・ストーカーことリチャード・ラミレスは逮捕されるのだけれども、それはギル達によってではないんですな。
自分の顔がばれてるのを、そしてそれが大々的の報道されているのを知らないで、他所からLAに戻ってきたラミレスは、コンビニの新聞を見てびっくり仰天。パニくってバスに乗ったら、新聞読んでた客に気づかれ、その客が降りて通報したので更にパニくり、バスを飛び降りて全力疾走してLAを逃げ回るんだが、行くとこ行くとこ『ラミレスだ―!』つって追いかけまわされ、最終的に近所のおっちゃん達に鉄パイプでボコボコにされて同じ名前のラミレス巡査に保護されるという、バカ丸出しのオチを迎えるのである。
ここら辺をきっちりと、面白おかしくやってくれたおかげで
その後の法廷の数々のイキリ発現が、マヌケに見える見えるw
ついでにグルーピー連中も超アホに見える見えるww
……と、まあ、そういう風に演出されてるわけでしてね。
このドキュメンタリーは最終的に、環境の所為で凶悪な人間になったという点は物凄くちょびっとは同情はできるけども
こいつはクソ馬鹿です。
追随する連中もクソ馬鹿です。
という風にもっていくわけです。
いや、公平性には欠けてはいるんだけども
被害者を無視した似非平等主義者みたいな連中よりかは
この製作者たちの考えの方が私の考え方に近いし好きかなあ。
というわけで、ホントにお薦め!
被害者が多すぎて、暗い気分になるかもしれないけれど
家の施錠をがっちりやりたくなる防犯効果もありまっせ!!
以上!!
ちなみにあのセシル・ホテルも一瞬出てくるでよw