メモ:ポン・ジュノが評価されるのは嬉しいのだけど、パラサイトが作品賞を撮るのは……やはりアカデミー賞はタイミングか。あと『殺人の追憶』よりも『パラサイト』の方が面白い、という人がいきなり増えて、頭を捻るばかり。
……君ら、ポン・ジュノ作品をさては観た事ないな?
1917 命をかけた伝令 2019
監督:サム・メンデス
主演:ジョージ・マッケイ
ディーン・チャールズ・チャップマン
シャーロック!
ストーリー
:多分、西部戦線のどっか
戦闘の合間にくつろいでいたマッケイ君とディーン君に特命がくだる!
後退を始めたドイツ軍に対して明朝行われるこちらの一斉攻撃は、実はドイツ軍による罠に飛び込んでしまうことが判明!
連絡手段が封じられた今、二人に攻撃中止の伝令をせよ、とのことだった。
ディーン君は自分の兄が、攻撃部隊にいる事を知らされ一も二も無く了承。
マッケイ君をパートナーに塹壕から、間違いなくドイツ軍が残留している無人地帯に飛び込んでゆく……
というのを疑似ワンカットでやってみました。
感想・バレ無し
:うーん……面白いんだけどね。
スカイフォールを観た時と同じで
良い脚本に、良い撮影、良い役者の演技を巧みにさばく
教科書みたいな映画。
でもね、教科書ってつまんねーんだよな。
いや、観て損は無い作品だと思います、はい。
私? 私は――うーん、吹替え目当てでソフト化されたら、レンタルでもう一回観るかな。
でも、絶対に買わないです。
以下ネタバレ感想
まず、これは良かったってところは
戦場の広さの怖さ、が良く出ていたってとこですかね。
塹壕や地下道、鉄条網やら砲撃跡、森、廃墟など遮蔽物がある場所での戦闘もたくさん描かれているんだけど、この映画のワンカット効果が一番出てるのは
何にもないだだっ広い場所に出た時だと思います。
もう、ね、隠れる場所が無い場所で、全方位に注意を払わなきゃならない怖さときたら……。
あとは、主役であるマッケイ君の面構えだよね。
もう、ホント最高です。
人生疲れた、でも若いから動けますみたいなどうしよもうない感じが滲み出ている表情が最高!
で、実は主役のように序盤を引っ張ってあっさり死んでしまうディーン君のディカプリオをほんわかさせたみたいな顔と戦場のミスマッチ感ね。
序盤の二人のやり取りが最後の最後まで、ちゃんと映画を引っ張っていくのも良し。
特に、冒頭の二人で居眠りしているシーンがラストの虚しさに繋がってて、ベタだけど実に巧い。
他には、ちょっとやりすぎだけど
真っ暗闇に燃え上がる建物、それをバックにこっちにゆっくり歩いてくるシルエットの兵士とか、汚泥にまみれた腐乱死体とかの美醜対比ね。
桜の花びらが水面に漂って、マッケイ君を勇気づけた直後に、目玉を撃ち抜かれた多分村民の虐殺水死体(ちゃんと舌が膨らんでる)を大量に出すとか、うん、やっぱりやりすぎじゃねw
で、逆に駄目な点は
伝令が二人ってとこです。
いや、序盤は良いんだ。トラップの辺りとか最高ね。
でも、ディーン君があっさり死んじゃってさ
あ、マッケイ君これから無傷確定か、と萎える萎える。
まあ、それでもマッケイ君の演技でちゃんと観てられるんだけど今度はワンカットが足を引っ張ってくる。
なんか、目的地がすげー近くに思えちゃうんだよね。
しかも慎重に進んでるのが更にそれを加速させるわけで
まあ、劇中でも14キロとか言ってた気がするんだけど、途中で独りになって地図を見るのを止めちゃった辺りから、今、目的地までどのくらいにいるのかが判らなくて、緊張感とか焦燥感とかがゼロになっちゃうのよ。
だから、後半は「いやー、この突撃シーン良くできてんなあ」と、映画から離れちゃってる自分がいてですね、なんかもう、非常にもったいない!
それと音楽がなぁ……無くても良いかなって思えるシーンが結構あったです。
ワンカットで没入感を高めてるのに、音楽で盛り上げをされると、映画っぽさが増しちゃって冷めるんだよねえ。
コリンさんやら、ストロング兄さん、シャーロックが超短時間ながらも流石の良い味だったのが、更にもったいなさを加速させる
そんな、もったいない超大作でございました。
あとは……いや、これ実話かどうかしんねーんだけど
ミルクの話とか都合が良すぎるように見えるし
お前がそこにいると赤ん坊が危険だろーが! とか
イライラしちゃうのが、なんともはや……。
川に流されて、岸に上がったら目的地でしたってのは
あ、これって寓話のように描きたかったのかとようやく気づいたんだけど、それにしちゃあ、戦場をリアルに体感させようとワンカットやってたりするんで、実はこの映画、芯の部分がぶれてないか? と観終わると次々と? が浮かぶんですなぁ……。
要するにもったいない超大作なのだ。
以上!