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イン・ザ・トール・グラス 狂気の迷路

メモ:ケンガンアシュラを見る為にちょっと前にNetflixに入ったんですが

俺の大好きな串田凛カブラギさん、まさかのカット

ペルソナ4のアニメでサブキャラコミュを一話に圧縮して魅せてくれた

岸監督とは思えぬ采配にガッカリ……いや、格闘シーン迫力あって

面白いんだけどね。

 

イン・ザ・トール・グラス 狂気の迷路 2019

監督・脚本:ヴィンチェンゾ・ナタリ

原作:スティーヴン・キング ジョー・ヒル

 

ストーリー

:車で走ってたワケありの二人。女が車酔いじゃい、止めてくれやぁと

のたまったので道の脇に車を寄せた所、横の背のたっかい草むらの向こうから

「助けて!」と子供の声がしたりするんですが

まあ善人な二人はよしゃあいいのにガサガサゴソゴソと中に分け入って

「どこやねん!?」

「ってか、ここどこやねん!?」

「ってか、出られないねん!?」

「助けて!」

そんな中、女の目の前に

ちょび髭を生やしたパトリック・ウィルソンが現われましたとさ……。

 

感想:バレ無し

えー、キング先生と息子のジョー・ヒルの共著短編が原作となっておりまして

それをヴィンチェンゾ・ナタリが脚本化して監督するという

中途半端な規模の地雷臭がプンプン漂った作品でございましたが

まあ、そこそこ面白かったです。

退屈は――ややしない、かな?

二度見るかと聞かれたら、多分無いかなぁ、と。

ホラーではなく、長めのトワイライトゾーン系の話で

一応起承転結ははっきりとしてるし、納得はできる(と思う)

こういう作品は

説明を省くことによって神秘性を出す事ができるか否か

が肝となってくると思うんだけど、それには成功していると思う。

あの石は意味が判らない物なわけであって、説明しつくしてしまうこと自体

野暮なのだ。

 

以下ネタバレ感想

 キングのファンだけども、デスペレーションとレギュレイターズで私のキング熱は燃え尽きた感がありまして、以降、集めてはいるが読んでない本が溜まっております。

ジョー・ヒル作品に至っては後で気が向いたら読もうと思いつつ、今の今まで一冊も!だからアジャのホーンズも観てねえよ。

いや、ホーンズは残酷シーンが少しカットされたと聞いて、完全に見る気が削がれちゃったんだけどさ。

 

で、トールグラスですが、まあ、あれだ

キング版:アグレッシブなピクニックatハンギングロックみたいな?

日常から半歩踏み出した異界に絡め取られれて正気を失っていく感じ?

だけどもトールグラスは名作ハンギングロックみたいな方向

つまり、失踪によって日常が狂気に浸食されていくにはいかず

草むらに閉じ込められたことによって、自分に向き合って恐怖に襲われていく

という方向に行ったんだけど……

まあ、良い点と悪い点がある。

 

良い点は

・キャラの掘り下げ

・そこから生まれる緊張感あるドラマ

 

悪い点は

・ずっと草むら

 

まあね、時間と空間がぐちゃぐちゃになった草むらに迷い込んで

過去の自分が未来の自分を草むらに招き入れたりしちゃったりする

素敵展開は面白い!

で、迷い込んだ奴の一人であるちょび髭ウィルソンが

実に判り易い「おお、素晴らしい!」系狂人になって追ってくるのも悪くない。

で、追われたり、死んだり生き返ったりもがいてるうちに、自分をとっくり見つめて、新しい自分に生まれ変わるってのも、定番だけど良いんですよ。

 

でも、ずっと草むらなんだよ

最初に草むらを鳥瞰で見るシーンとか、生物みたいでゾクゾクするんだけど

途中から

もうええって……

もうワサワサええって……

そんなウーとかアオーとか声乗せんでもええって……

 

まーねー、迷路に迷い込んだら地獄でしたってのは

結構よくある設定でさ、それを草でやったのは

酔眼だとは思うよ。(だからキューブのナタリを呼んだのかね?

私も趣味で小説書いてますがね、田圃に迷い込んで出られなくなるってのを

この前書いたしね。でもね、迷路と違って草はどこまで行っても草なんだよね。

文章なら良いんだよ。

でも映像は、特に長編はダメなんだよ。

まあそれでも、謎の石を出してアクセントを付けたりして頑張ってる。

判る!

判るよ? でもね

草が草すぎて俺の頭が草っちゃうのよwwwwww

(↑低度なおやじギャグ

いや、真面目に言うとさ

歩いてて、いきなり太陽の方向が変わるっていう

大変素晴らしいシーンがるんだけど

ああいうのをもっとやらないとさ、音だけ聞いてりゃいいんじゃねーのか

って途中で本気で思っちゃったし……。

ちゃんと全部見たけどね。でも自宅で見るのが主のNetflix作品で画面が退屈ってのは結構まずいとは思うんだが……

 

 

まあ、それでもですね、キング信者の視点で見ると

実は主人公である「後から来た男」「ちょび髭ウィルソン」

「父親として目覚める男」「父親から転落していく男」

つまりはキングの名著「シャイニング」

「原作版ジャック」vs「キューブリック版ジャック」

みたいにも見え、こりゃ「ドクター・スリープ」楽しみだわい

思っちゃたりするんですよ。

あとは、地獄の中心に真っ黒い石があって

実はその下から根がぎっしりと生えていて、過去の死者たちが絡めとられて呻いてる、なんてな怪奇小説、いやさ、ラヴクラフト風味んだけど

それに対して堕落していない教会を出して、そこを出口とする辺り

キングの甘ったるさが全開でね、そういうのが久々に堪能できて

余は満足だよってな感じですかね?