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パラサイト 半地下の家族

メモ:寒暖差が激しすぎて、体調メチャクチャよ(涙)

 

 

パラサイト 半地下の家族 2019

監督:ポン・ジュノ

主演:チェ・ウシク

ソン・ガンホ

 

 

 

ストーリー

:父母兄妹の貧乏一家四人はアパートの半地下に住んでいた。

ある日、長男の友人が、留学する自分に代わって家庭教師をしてくれないかという話を持ってくる。

家庭教師先の金持ち家に面接に行った長男は、金持ち奥さんのチョロさに気づき、『ある計画』を思いつく……。

 

 

感想:バレ無し

私はポン・ジュノ作品は

殺人の追憶

グエムル

母なる証明

以降見てないです。もう、この三本が名作過ぎて

これ以上のものは多分撮れないんじゃないか? と思っちゃったのね。

で、久しぶりに見た(間にスノー・ピアサーとオクジャが入るのかな?)ポン・ジュノ作品なんだけど、うん、予想通りになってた。

かなり面白い映画だとは思うけど、前述の三つよりも大きく劣る……。

 

というか、これ、映画の企画だったの?

アニメ映画「サマーウォーズ」と同じ

このネタと設定なら

長尺のテレビシリーズでやれよ!

って感じです。

 

以下ネタバレ感想

 えーっとですね、前述の三作は

主人公が確固たる目標に向かって、猛烈な勢いで前進していくことによって、ハチャメチャな登場人物や展開が巻き起こり、それを見事な捌き方で魅せていく映画でして、だからして、ポン・ジュノの魅力って

語り口

だと思うのよ。テーマとか、暗に示す物とか、そーいうのはどーでもいいの

そういうのは、ポン・ジュノが考えたお話の一要素盛り上げる為の部品にすぎないわけでしてね

開幕に胸ぐらを掴まれたら、そのままポン・ジュノに好きなように振り回される快感が、キモなわけです。

 

で、パラサイト。

この映画はそれが圧倒的に足りない。

原因としてはまず主人公だ。

この映画の主人公は一応、長男なんだけど

言っちゃえば登場人物全員主人公なんだよね。

それだけ、各キャラが立ってるんだけど

逆に言えば

このキャラ良いなあ!

こいつ、これから、どうなって、どういう結末に行くんだろう?

え?

……終わり?

これがなあ、多分わざとやってる部分と、偶然そうなっちゃった部分が混在してるから困るんだよなあ。

貧乏一家四人も、金持ち一家四人も、あくまでも普通の人として清濁併せもって描かれるのよね。

策略を巡らして辞めさせた運転手を「あいつちゃんと再就職してるかなぁ」と心配するソン・ガンホとか、金持ち一家のお父さんが、「ソン・ガンホは一線をわきまえてこっちに干渉してこない。それがいい。でも臭いんだよなぁ」とかね?

からして、感情移入が難しい

むしろ、貧乏一家は、妹の「なんかテキトーにネットで調べたこと言ったら、感動して泣いてやんの。あの女馬鹿じゃね?」と言う発言を、スルーする辺り、非常にムカつくし不快な連中

だから、続々と就職していくのも

爽快感とか、巧い事やったなとは全然感じないわけで

逆にちぐはぐな土台でどんどん上に登って行く

馬鹿、何やってんだこいつら? 感が半端ない。

ここで、金持ち一家が極悪だったら、応援できるんだけど

金持ち一家は前述通り普通の人達で、むしろ騙されてる被害者、一番下の子は普通に可愛そうな子なんですな。

だから、最後に貧乏一家の妹が死ぬんだろうけど、金持ち一家は全員超が付く程の不幸になってるので、貧乏一家の顛末を見せられても、ざまあみろとしか思えなくてですね、それって監督狙ってるのかね? と。

 

最後の展開にするならば、もっと各人を濃厚に描かないと

貧乏一家長男の覚悟とか、ソン・ガンホの手紙とか全然響かない。

時間が足りないので、あの瞬間に集約させましたとしか見えないんですよ。

これ、最後のパーティシーンそのままで、どっちも大怪我で誰も死ななかった方が絶対良いラストになったと思うんだけどなあ。

で、ラストのラストは金持ち一家の息子が照明の明滅を見つめている、とかね。

ああ、やっぱり『無計画じゃない計画』は破綻する――みたいな?

 

それと、これを言っちゃあお終いなんだが

ジョーカーと一緒で作られた貧乏・悲惨感が半端ない

これってキャラに感情移入できないってのと連鎖してるんだけど

映画に入って行けないから、世界観が嘘っぽく見えるのね。

それが余計にキャラへの没入を妨げてしまうという、嫌な循環をしてくるわけで

韓国の実情は、これだけ優秀な人でも就職できないんですよということなのかもしれないが……なんでこいつらこれだけできて、無職なの? って思ったり。

貧乏一家母ちゃんとか、料理上手いんかい! とかね。

 

いや、ポン・ジュノの映画だからね

寓話というか、お伽噺であるってのは判るんだよ。

だから逆に

キャラに感情移入できない作りにしたのは、まずいと思うんだが……。

 

で、最初の文句に戻るわけです。

テレビシリーズでやれ、と

 

と、いうか――これ、テレビシリーズの企画がぽしゃってできた映画なんじゃねーの?

 

と、まあ、こんな感じですか。

家政婦が帰って来てから、自分達よりも底辺の人間に直面して

貧乏一家の価値観がぶっ壊れるくだりとか最高で、ホラーでサスペンスでギャグ満載なのに、次の日にいきなり決着とか、うーん……。

あと、三十分あれば――いや、一時間あれば、なんとか……いやダメか?

 

まあ、そんな感じ。

以上です。