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新・13日の金曜日

メモ:ガキの頃、つまらんなあと流し見してた映画をおっさんになってから見ると、色々発見があって評価が真逆になってみたり……。

 

 

 

新・13日の金曜日:1985

監督:ダニー・スタインマン

主演:ジョン・シェパード

 

ストーリー

:前作『完結編』でジェイソンの頭にきつい一撃を加え、その後『Die!Die!』マチェーテによる苛烈な連撃でジェイソンを屠ったトミー君。

今ではすっかり、精神がアレになっちゃいまして、今日はちょっと特殊な精神病院に移送されてまいりました。

ところがその病院、オープンワールド外に開放された病院

いや意図は判るが、それはダメなんじゃないのか? と私が思う間もなく、ちょっとした諍いで殺人事件が発生

いや、監視とかなくして社会復帰を目指すのは判る! 

判るよ?

でも、駄目だろこの病院。

そんなモヤモヤを私が抱くやいなや、連続殺人が発生するのであった……。

 

感想:バレ無し

メモにも書いたんだけど、13金シリーズで一番印象が薄いというか

一回しか見たことが無くて、そん時は「つまらんなあ」だったんだけど、今回再視聴して吃驚。

もしかしたらシリーズ中一番面白くね?

いや、13金シリーズなんで60点位が最高得点だと思うんだけど

限りなく60点に近い映画でした。

うん、それ以上ではない。

醤油ラーメン食いたくて醤油ラーメン食ったら、

割と好みなとんこつ醤油ラーメンだった、みたいな?

 

以下ネタバレ感想

 いやあ、シリーズ物なのにジェイソンの全身が出るまで1時間10分!

それが、なんでかって言いますと、この映画

ジェイソンは本当に死んだのか?

死んだなら、偽ジェイソンは誰なのか?

っていうミステリー映画になってるのよ。

 

だから、物凄い勢いで大量の人がガンガン殺されていくんだけど
(多分シリーズ最多なんじゃないかな?)

ほとんどの殺人シーンが画面外処理

振り降ろされるマチェーテ

柔らかい肉を裂く音!

もしくは一瞬! 頭頂部に斧なんて素敵シーンもホントに一瞬

なーんか上品なんだわ。

(いや、死体の造形が今一なんで、良いスタッフが集まらなかったのもあるんだろうな)

 

で、それが成功してるかってーと

やや失敗、かなと。

この『やや』の部分が、なんと言うか、見ていて大変もどかしい

 

前述の通り、ミステリー映画の要素を強くして

ついでにトミーの暗黒面を描くサイコホラー要素もぶち込み

更にはスラッシャー映画お約束のおっぱいと大量の死体も入れてるの

90分に。

 

そりゃあ、全部中途半端になるわなあ。

今回はお約束のキャンプ場から離れて、屋外の治療施設。

出てくるティーン達は割と深刻な悩みを抱えてる人がいたり

滅茶苦茶個性的な奴謎の男なんてのがザクザク出てくるのよ。

それを短時間でフーダニットとスラッシャーを同時進行でやるもんだから、キャラ紹介だけでいきなり退場!とかやらかすんですよ。

んで、更に同時進行されるトミーの再生物語も結果的に失敗に終わるんだけど

(ちなみに次作では、今回の事は無かったように相変わらずジェイソンの影におびえてます)

その内面を描いてる時間がほぼゼロなんで、なんかもう……。

設定を練り込みすぎて、駄目になった映画なんですわこれ。

 

とはいえ、前述通り60点に限りなく近い、映画として面白さもあるわけです。

 

例えば、画面外処理で

長い植木バサミを開いた状態でどっかにぶすっと刺して

バツっと閉じる!

後のシーンで、被害者の女性は

目玉を平行に断ち切られている!!

他にも発煙筒による殺人、とか

むむ!? と唸れる珍殺人シーンがあったりするのですな。

 

それとクライマックスの攻防のグダグダさ

いや、これ褒めてますよ。

今回の偽ジェイソン、当り前だけど人間なんです。

(ジェイソンがゾンビになるのは次から)

でも映画としては不死身のジェイソンとして盛り上げなくちゃいけない

というわけで

・まずブルドーザーに轢かれます。→お腹に一文字の傷。出血。フラフラ。

チェーンソーで攻撃されます。→マチェーテで応戦するも、腕を切られる。

ナイフで太ももを刺されます。→痛さに悶えます。

・ガキのダイブ+手首を切られて納屋から落下→農具に刺さって死亡

 

いやー、ジェイソンがバンバン攻撃されて、しかも中々効果があって、ちっとも怖くない、むしろ可愛そうになってくる、というね。

80年代のスラッシャー映画じゃ珍しいクライマックスなんじゃねーかな?

 

しかもこの偽ジェイソン

禿げズラ(というか禿げマスクを被って

その上からホッケーマスクを着けてるんですよ。思わず二度見したね

なんてセンスだ、と

 

更にツッコむなら、この偽ジェイソン

最初の殺人事件の被害者の親父なのね。

どうも、息子が殺されたショック

無差別殺人をしていたらしいのよ

禿げズラを被って

なんだろうね、この発狂と釣り合わない妙な可愛らしい小細工。

しかも息子を殺した患者は、その場で逮捕されてるのね。

いや、ジェイソンだって八つ当たりなんだけどね?

でも、この偽ジェイソン、息子と母親を捨ててるんですよ。

原因がお前すぎて眩暈がするわ!

 

 

他にもメインキャラを食い散らかしかねない

隣家の発狂親子(注:一般人)とか、バランスが滅茶苦茶なんだよ!

でもそれが、妙な魅力になってるもまた事実。

トミーが見上げるネオンの光と、偽ジェイソンのマスクの模様の色が青系統で統一してあったりと、普通に良いなあと思う所もあったりしてですね

色々きっちりやってたら上映時間があと30分あったら

もしかしたら

相当面白い映画になったんじゃなかろうか

 

 

……などという幻想を抱かせる映画でございました。

どっとはらい